Sunday, April 27, 2008

ポナイト

エクス・ポ ナイト」に行ってきた。途中からの参加で、すべては見れなかったが、円城塔を中心にした座談会や、冨永昌敬と松江哲明の対談など、刺激的な話が聴けた。

しかし、ライブを見たFilFlaというバンドは、今回初めて聴いたのだが、あまり楽しむことができなかった。僕は別に彼らの演奏が悪かったとは思っていないし、例えば偶然テレビで見たとしたら、あるいは良かったと思ったかもしれない。その前提で、いくつか批判的なことを書いてみることにする。

僕には彼らの演奏が2000年頃のポストロックとか、あるいはスーパーカーみたいなバンドとの違いがよくわからなかった。そしてギタリストが操作していたラップトップから再生されるトラックは、どうにもギタリストが操作する必要性が感じられなかった。

というか、そもそも既に制作されているトラックと一緒にライブを行う場合、それが本当にライブである意味があるのかということに、ある程度以上は注意を払わなければ行けないと思うが、それが今回の演奏からは感じることができなかった。コンピュータと人が同時に演奏することによる、例えばリズムのズレや、菊地成孔的な意味での訛りなどが前景化されるような音楽ではなかったし、明らかなミステイクもあった。そして、曲間でラップトップを操作する間が、どうにもしまらない。明らかにただ再生しているだけであったので、それならミキサーをいじっている音響の人にオペレーションを任せるべきだった。

あと彼らの演奏に限ったことではないだろうが、バンド形態での演奏において、現在あまりにも4拍子というか、アフタービートの演奏が多過ぎではないか。実際現在が他の時代と比べて4拍子が多いかどうかはわからないが、変拍子を奨励するという意味では全くなく、単純にドラムが2拍4拍にスネアを鳴らす音楽ばかりで、ちょっとつまらない。途中すこし抜けていたので確実ではないが、彼らの演奏した曲の中ではおそらくすべてがそのようなリズム構造だったのではないか。そしてドラムの音色についても、どこで聴いても「良いドラムの音」の感覚が同じで、あのソリッドで中身の詰まったバスドラ、シャープなスネアとハイハット、といったほとんど記号化された音色はあまり刺激とは言えない。

最後に、これはラップトップを利用していたことが相当程度影響していると思うが、彼らの演奏は全て1曲ごとに終了してから次の曲に移っていた。まずこの構成自体にも異論はあるが、しかし今問題にしたいのは、その一度曲が終了したときに訪れる無音状態の、異常なまでの生々しさだ。それまでコンピュータの音色も含め、人工的な音響が周りを包んでいたにもかかわらず、最後まで引き延ばされていたギターの音色がボリュームを0にフェードアウトしたとき、そこに訪れる音楽の不在、その明らかに先ほどまでの音楽とは関係ないように思われる会場の雰囲気とかすかなP.A.の駆動音。その対比はどう考えても面白いものではなかったし、だからこそある程度続けて演奏したりMCを入れるなりするべきだったと思う。しかしあの強烈に襲いかかって来る音楽の不在の瞬間というのは、僕が何らかこれから音楽について考える上でのヒントになりそうな気はした。

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