Wednesday, April 30, 2008

パラノイド・パーク



ガス・ヴァン・サント監督「パラノイド・パーク」を見た。

冒頭、パークを滑走するスケート・ボーダーを、おそらくインラインスケートの類いをはいたカメラマンが追いながら撮影した、長いショットが特に印象に残った。滑らかな起伏によって作り出される陰影が、様々な表情を作り出しているそのパークを、被写体と交錯しながらカメラが駆け抜ける。そこにイーサン・ローズ(詳しくは知らない)のポストロック的な音楽が合わさり、スケーターのたむろするその空間は、ドリーミーな光に包まれ、しかしある不安定さをもって描画されていた。

そういえば前編を通してかなり音/音楽の多い作品であった。イーサン・ローズの作品はもとより、エレクトロ・アコースティック系の作品や、あるいは紙に鉛筆で文字を書く音や、名刺を持ち上げるときに紙と机がこすれる音など、すこし過剰なまでに録音されており、個人的にはもう少し控えめでも良いような気がした。当然のことながら過剰は無いのとほとんど変わりがない。

主人公の少年は、常に自分の居場所を確定することができない。流動的で、偶然によって支配され、自分が行うこと、あるいは既に行ったことに対してコミットできない。スケートボードによっても、セックスによっても。それが最終的に、エクリチュールの形で定着させることによって、あるいはその言葉たちが、他者へと開かれることによって、彼自身が解放されることができるのか。解釈は開かれたまま残る。

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